夏講日記(その1)-留め置かまし 大和魂-

いきなりですが、我が心の師・吉田松陰先生が怒っておられます。

「其(そ)の分れる所は、僕は忠義(ちゅうぎ)をする積(つも)り、諸友(しょゆう・松陰先生が弟子に呼びかける言葉)は功業(こうぎょう)をなす積り。さりながら人々各々(おのおの)長ずる所あり、諸友を不可とするには非ず。尤(もっと)も功業をなす積りの人は、天下皆(みな)是(こ)れ。忠義をなす積りは、唯(た)だ吾(わ)が同志数人のみ。」

時は幕末、尊皇・攘夷・倒幕運動、最前線基地の観を呈した松下村塾で、先頭切って走っておられたのは、師匠であった松陰先生でした。

「我が忠義に殉じる者が、同志数人とは情けない。憂き世に媚びへつらい、多数派に付和雷同するとは何事か!恥を知れ!」

…と、弟子たちに激怒されているのです。

松陰先生にとって、今こそ時節到来と。しかしながら、高杉(晋作)や久坂(玄瑞)、桂(小五郎)にとっては、単なる跳ね上がり、冒険主義にしか見えませんでした。

小生観ずるに、松陰先生の偉いところは、単なる糾弾闘争を弟子たちに仕掛けたわけでなく、皮肉交じりではありますが、「諸友を不可とするには非ず」と、生き直す道を示唆したところでしょうか。

松陰先生のお言葉は、このように常に激烈です。激烈ではありますが、どこか慈愛に満ちた優しい語りかけを内包しています。

これを自戒の言葉とし、本日から夏講を開始します。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

大阪通信 Vol.59 配布開始しました -現在読破中!です

大阪通信 Vol.59 配布開始しました。久しぶりに、現在読破中!です。

----------
現在読破中!です。

ご質問いただきました。「先生、難しい本ばかり読んでいらっしゃいますが、私も難しい本を読まないといけませんか?」。

ご回答いたします。「難しくてもやさしくても結構です。読んでいて楽しい本を読んでください」。

もう一つ、ご質問いただきました。「ご紹介いただいた本を、読んでみよう!と思って、本当に読み始める生徒がいたらうれしいですか?」。

ご回答さしあげます。「正直、うれしくないといったらウソになります。しかしながら、現在読破中!から第一に知っていただきたいことは、本を読むことは楽しいことかもしれないということ、別の言葉でいうと、楽しそうに本を読んでいる人がいるから、真似してみようかな…と思いついてくれたら、先生はこの上なく幸せです」。

ではそろそろ、始めましょう。


----------

今回は6冊紹介されているようです。

1)稗田阿礼・太安万侶『古事記』岩波文庫(倉野憲司校注)+講談社学術文庫(次田真幸全訳注)

2)近藤義郎『前方後円墳観察への招待』青木書店

3)梅原猛『古典の発見』講談社学術文庫

4)宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫

5)日下雅義『地形から見た歴史 古代景観を復元する』講談社学術文庫

6)鹿野正直『近代日本の民間学』岩波新書

今現在読んでいて「おもしろい!」と思った本だけ紹介していますから、「読書感想文」みたいな堅苦しいところがありません。

が、難しければ難しいほど、「おもしろ」がる性格は、杉浦先生、生まれつきのようです。笑って許してあげてください。

ぜひ一度、読んでみてください。

大阪通信 Vol.59、石川数学塾大阪・学園前教室にて好評配布中です。ご自由にお持ちください。

]なお、中入倉庫に大阪通信のバックナンバーが揃っています。今週の 大阪通信 Vol.59も、既に収納してあります。ご覧になってみてください。

石川数学塾大阪
学園前教室長・杉浦

大阪通信 Vol.58 配布開始しました -博物館に行きましょう!

大阪通信 Vol.58 配布開始しました。いろんな博物館の「春季特別展」報告です。

杉浦先生、ご機嫌のお勧めばかりです(^_^)。

【1】天理大学附属天理参考館「ギリシア考古学の父 シュリーマン -初公開!ティリンス遺跡原画の全貌-」

【2】橿原考古学研究所附属博物館「継体大王とヤマト」

【3】近つ飛鳥博物館「古代出雲とヤマト王権 -神話の国の考古学-」

博物館のボランティア説明員に解説する男(「解説される」ではありません)、いったい何を書いているのでしょうか?

----------

(…前略)

ハインリッヒ・シュリーマンのスゴイところ…。

1)本名がすごく長い。ドイツ語名で、”Johann Ludwig Heinrich Julius Schliemann”(ヨハン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユリウス・シュリーマン)と言う。

2)幼少時、半端なく貧乏であった。ギムナジウムの学費が払えずに、退学させられた。

3)それゆえに、当然「学者」ではなかった…が、裕福な「貿易商」として成功した。

4)ホメロスの『イリアス』に感動して、考古学を志した…と信じられてしまうほどに、情熱的なキャラクターであった。

5)気合と根性でトロイア遺跡を発掘できた…と信じられてしまうほどに、エネルギッシュなキャラクターであった。

6)オスマントルコ政府を騙して、恫喝までして、盗人同然に発掘品を国外に持ち出した…とは、およそ信じられないほどに、一見、善意あふれるキャラクターであった。

おおよそここらあたりが、世間一般に認知されている「シュリーマンのスゴイところ」ではなかろうかと思います。

1)~3)は、事実としてホンマにスゴイです。4)~6)は…、

4’)『イリアス』に描かれたトロイアの実在性を前提に考古学的発掘を試みたのが、必ずしもシュリーマンをもって始祖となすわけではないと、既に総括されていますし、

5’)シュリーマンは層位をまちがえており、彼によって「トロイア」と思われた遺跡は、実は1000年違いであったと、今や正しく指摘されていますし、

6’)盗人疑惑に至っては、「シュリーマンさんほどの善人が、まさかそんなことをするはずがない」と、何の根拠もなく一蹴されてしまうところがスゴイです。ちなみに彼が国外に持ち出した財宝の帰属をめぐって、トルコ、ドイツ、ロシアの三国がいまだに喧嘩しておりますです…はい。

ともあれ、そんな具合にスゴイ人なのですが、小生にとってシュリーマンは、もう少し地味にスゴイ人であります。

(後略…)

----------

ぜひ一度、読んでみてください。

大阪通信 Vol.58、石川数学塾大阪・学園前教室にて好評配布中です。ご自由にお持ちください。

なお、中入倉庫に大阪通信のバックナンバーが揃っています。今週の 大阪通信 Vol.58も、既に収納してあります。ご覧になってみてください。

石川数学塾大阪
学園前教室長・杉浦

春講日記(その24)-久方の光のどけき-

春期講習、オーラスです。今年も長いようで、あっという間の四週間でした。

腹が減ろうが、眠かろうが、ぐっと前を睨んで克己勉励、すばらしい生徒たちでした。

生徒たちに導かれて、おめめパッチリ、気の引き締まる思いでした。

久々に長時間講習をご一緒した生徒がいました。昔と変わらぬ前向きな日々を取り返してくれました。

いつもながら、共に苦しんだ生徒がいました。小生の方が3倍以上年上です。先に弱音を吐いたら、切腹の覚悟でした。

こんなに長い授業を、経験したことがなかった生徒がいました。やればできると、わかってくれました。

どなたも、ほんの少し前に歩み出せたと思います。小さな一歩でも、百回がんばれば百歩、千回がんばれば千歩です。

良かったですね。貴重な経験ができましたね。

朗報を記しておきましょう。多くの生徒が新しい仲間として結集してくれた今日この頃、実力派スタッフが仲間に加わることを宣言してくれました。慶賀の至りです。

我々石川数学塾大阪のスタッフ仲間は、理想を高く掲げ、相敬い、相助け、相競い合うすばらしい集団と自負しております。新しい仲間には、即戦力として、思う存分暴れていただきましょう。

弊塾HPの5月改変をお見逃しなく!いよいよ仲間が、神秘のヴェールをぬぎます。乞うご期待!

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その24)-久方の光のどけき-

春期講習、オーラスです。今年も長いようで、あっという間の四週間でした。

腹が減ろうが、眠かろうが、ぐっと前を睨んで克己勉励、すばらしい生徒たちでした。

生徒たちに導かれて、おめめパッチリ、気の引き締まる思いでした。

久々に長時間講習をご一緒した生徒がいました。昔と変わらぬ前向きな日々を取り返してくれました。

いつもながら、共に苦しんだ生徒がいました。小生の方が3倍以上年上です。先に弱音を吐いたら、切腹の覚悟でした。

こんなに長い授業を、経験したことがなかった生徒がいました。やればできると、わかってくれました。

どなたも、ほんの少し前に歩み出せたと思います。小さな一歩でも、百回がんばれば百歩、千回がんばれば千歩です。

良かったですね。貴重な経験ができましたね。

朗報を記しておきましょう。多くの生徒が新しい仲間として結集してくれた今日この頃、実力派スタッフが仲間に加わることを宣言してくれました。慶賀の至りです。

我々石川数学塾大阪のスタッフ仲間は、理想を高く掲げ、相敬い、相助け、相競い合うすばらしい集団と自負しております。新しい仲間には、即戦力として、思う存分暴れていただきましょう。

弊塾HPの5月改変をお見逃しなく!いよいよ仲間が、神秘のヴェールをぬぎます。乞うご期待!

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その23)-久方の光のどけき-

春講をきっかけにして、今年もまた多くの仲間を迎え入れることができました。

皆さまのご期待を、しっかりと背負わせていただきます。ありがとうございます。

10年目の塾生生活を送るベテラン「生徒」が、新入りの皆さんに、いみじくも言いました。

「ここに入ったら、とにかく生き残れ。しがみついて、やってるうちに、必ずモノになるからな。」

自身の経験に裏打ちされたお言葉、重く受け止めたいものです。

入塾にあたって、ご父母の威勢良い仁義も、春ならでは…ですね。

実録です。

「煮てもろても、焼いてもろても、けっこうです。命だけ残してもろたら、おんのじです。」

「授業がうまい、解説が明快、とっくに承知。そんなことより、いつものように、俺の背中について来いと、ひとことおっしゃってくださいませ。」

「ご存命の限り、従います。どうか長生きしてください。」

どれをとっても、浅学非才の小生には、身に余るお言葉。ただ、ひたすら、感謝いたします。

一生懸命努力して、ご期待にそうべく頑張ります。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その22)-久方の光のどけき-

「俺は悪くない。悪くないのに虐げられている。」

卒業生が血相変えて、飛び込んできました。どれほど「悪くない」のか、聞いてみました。

俺は京都大学に通ることを至上命題とした学校に進学した、必ず通るから、無意味に夜更かしすることも、朝起きれないことも、授業中ぼんやりしていることも、すべて無罪である…と、彼は強弁しました。

全部有罪やで…というか、そんなことしてたら、そもそも通らんがな…と。

議論は平行線でした。彼はあれほど恋い焦がれた進学先を中退しました。

小生、彼のその後を、寡聞にして知りません。ちょうど三十年前の、蒸し暑い夜でした。

「異議無~し!」「ナンセンス!ナンセンス!」

三色ヘルメットのご年輩軍団が、銀幕に叫んでいました。何色か?は、秘しますが、小生も一色かぶっておりました。

学生が堅固なバリケードを築き始めると「異議無~し!」。機動隊が学生を弾圧すると「ナンセンス!」。全会一致でした。

不一致もあり?そのとおりです。

集会にて白メットの演説シーンに、白軍団が「異議無~し!」。赤と青が「ナンセンス!」。

赤メットが阻止線を突破すると、赤軍団が「異議な~し!」。白と青は、し~ん。

映画の名前は『二十歳の原点』。原作は高野悦子さんという、立命館大学全共闘の女性闘士が残された日記です。

奇しくも小生の誕生日6月24日に、JR山陰線を「旅」の終わりとされました。

世の中に牙をむく高野さんと、やり過ごそうとする世の中と、JRの線路のような平行線が、ここにもありました。

銀幕の名前は「京一会館」、叡電一乗寺にあった小さな映画館でした。

高野さんが闘いに倒れてのち、はや半世紀が過ぎ去ろうとしています。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その21)-久方の光のどけき-

青年の視線の先に、柔らかな指先がありました。

指先が不思議な弧を描いていました。じっと凝視していましたら、目が回りそうになりました。

王将で買ってきた焼餃子をつまみながら、同じく王将でテイクアウトしたチューハイをグイグイ飲んでいました。

川面を照らす夕日が、とてつもなく美しくもあり、なんとなく寂しくもあり。

指先に触れてみると、体が斜めに倒れかかりました。長い髪がふわっと顔を覆いました。

『パンの略取』が気に入らないと、いや、クロポトキンそのものがナンセンスだと、再び強く主張し始めたとき…

「ボル(ボルシェビスト)って、かた苦しいわね。意固地で、いつも虚勢張って」。

全人格を否定されたようで、思わず崩れ落ちました。

色恋に不器用な青年と、アナーキズム命な女性が、鴨川の岸辺に寄り添いました。

まだ肌寒い早春の京都、淡い四月の淡い二人が、膝まくらしながら、されながら…。

桜散る淡い季節の、淡い淡い思い出です。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その20)-久方の光のどけき-

ため息をついていた生徒がいました。登場していきなりのため息でしたから、勉強がしんどくなったわけではなかろうと思います。

「どうしたん?気合い入れたるでぇ。」

ちょっと低い声が、小生からかけられます。

「明日から学校です。気が重いです。」

正直でいいですね。しかし塾だろうが学校だろうが、勉強やる気が足らないようでは困ります。

「何で気が重いのかな?」

この問いには正直こたえるとマズい、生徒はとっさに思ったにちがいありません。

「始業式がつらいです。立ってなきゃいけないし。」

しめしめ、うまく収めたったわいと、胸をなでおろす声が聞こえるようです。

「勉強のつらさに比べれば、始業式の一つや二つ、ど~ってことないわいなぁ。」

え?そうくるか?ド真ん中ストライクやんけ。まずい…(^_^;)。

「そうですよね。勉強以前の問題ですよね。僕がまちがっていました。気合を入れ直します。」

生徒はわき目もふらずに勉強し始めました。

ほんの30秒のやり取りでしたが、思惑あいせめぎあい、楽しい枕でした。

今日も一日がんばりましょう!

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

春講日記(その19)-久方の光のどけき-

数年ぶりに…腰を「ゆわし」てしまいました。

春講に入ってから、朝のウォーキングができてないし、週末の天気が悪いから、普段の日曜に比べて長い距離歩けないし、まずい状況だ…とは思っていましたので、重々注意していたつもりだったのですが、ビリビリっときてしまいました。

腹巻コルセットのお世話になっております。

コルセットといえば「患部に巻く」ものと誤解されている方が多いようです。私も十数年前まで誤解しておりました。

お医者様に教えていただきましたところ、「腹圧を調整して、こわばった腰の筋肉が徐々にほぐれるまでのサポート器具」なのだそうです。ですからズボンベルトの上が定位置であると。

しばらくは鎮痛消炎剤と筋肉弛緩剤を飲みながら、癒える日を待ちます。

そもそも今回の事態ですが、「塾屋を続ける限り諦めている」と言っていた花見に、秘かに出撃しようとヨコシマなことを考えたことから始まったようです。

春の長雨と腰痛に祟られて、花見は爆砕でした。

旧暦二月、如月(きさらぎ)の望月(もちづき)に考えるこっちゃないで!と、西行法師に叱られた気分です(^_^)。

願はくは 花の下にて 春死なん そのきさらぎの 望月のころ

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦