怪-冬講日記(9)

「アヤカシ」に出逢ってしまうことがあります。

那羅山を北へ北へとウォーキング、国道24号、JR関西本線、平城山大通りが交差するあたり、高架下を超えて佐紀丘陵に登ります。

ヒシャゲ古墳(磐之媛陵)を左手に、ちょっとした小道を山奥へ、釣り人たちが憩う小さな池のほとりに出ます。

ある朝、少し変わったいでたちの釣り人に出会いました。

大きなドテラのようなものを着込んだ後姿、ムーミン谷のスナフキンかと錯覚するほど大きなつば帽子、何に腰かけているのだろうと思ったら、大きくて、たわわで、真っ白な尻尾でした。

ここまでおよそ12000歩くらい歩き通していますから、少々息が上がっていまして、どうやらまともな判断能力を失いかけていたようです。

「釣れてるのかな?釣り糸も尻尾も、ピ~ンと張って、元気そうだし釣れてんのやろ。」

「何は無くとも、元気が一番!尻尾の張りが、元気な証拠!」

「ん?なんか変やな…。尻尾…、なんでやねん?」

ようやく気づいて振り返りましたら、尻尾の釣り人はドロロンパ。

代りに大きなキツネが、小生の頭上を跳ね超えて、佐紀の田畑に踊っておりました。

しまった!だまされた!と悔やみましたが、やられてみてなんだか爽快でしたから、これまた不思議なものです。

キツネが一瞬立ちどまり、小生にニコッと笑いかけました。

小生は苦笑いを返すのが、精一杯でありました。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦

風-冬講日記(8)

風の季節です。風は風邪を運んでくるのでしょうか、風の季節と思う頃に、風邪が流行りだします。

学園前教室の12月、マスク強制着用の日々が始まります。風邪の飛沫感染をシャットアウト、感染源を撲滅します。

2月までのおよそ三か月間、マスク越しにボソボソと授業します。息苦しかったり、メガネが曇ったり、何かと不評ですが、暖かい春になると、冬の猛威を乗り切ったうれしさにつつまれます。

「酸性雨や大気汚染の原因物質は、国境を越えて飛んでくるんだよね。大陸からかな?北西季節風に乗って?…じゃあ、冬だけかな?」と、するどくつぶやく生徒がいました。

「そうだね。大気に国境はないからね。けれども、季節風に乗ってくるとは限らないんだ。偏西風っていう、いつも西風みたいな気流が、上空にあるんだ。この風は大陸から、いつも何がしか、運んでくる」。

「なるほど、偏西風っていうんだ…」、ひとつ賢くなりました。

狭い土地にノッポな家屋が増えました。趣深い風見鶏がどんどん消えて、避雷針に取って代わりました。

風見鶏は、いつも風の吹いてくる方向を見ています。よく言えば臨機応変、悪く言えば無節操。

かつてこの国に「風見鶏」と言われた宰相がいました。政権与党にはいたものの、弱小派閥の領袖として、風見鶏よろしく盛んに合従連衡、政局を乗り切り、後世にその名を残した男です。

彼にとって、「風」は生命線だったんですね。生殺与奪を、「風」に握られているなんて…。

寒風の季節、風に思いを馳せました。

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学園前教室・杉浦

書-冬講日記(7)

書物を好んでおります。珍本・奇本収集というわけではありません。極めてノーマルです(…と自評しています(笑))。

ノンフィクションが、ほとんどです。フィクションは、めったに読みません。「非現実性」を許容するだけのゆとりが、脳みそに無いのだと思います。

新刊の人気本が好きです。かなりミーハーであります。

希少な絶版本も好きです。古本屋の棚の奥の更に奥とか、取り次ぎが諦めた本を、出版社の倉庫の奥からゲットした時とか、狂喜することがあります。

読むときは淡泊です。喜びも、悲しみも、それぞれ三秒間。あとくされが、全くありません。

書物を歴史的に位置づけることは、好んでやっています。

古い研究書でしたら、正しく評価されてきたものなのか、ほとんど見切り発車みたいな新刊でしたら、のちの運命に想い致さざるをえません。

本棚は乱雑に整理されています(笑)。どれがどこらあたり…くらいには記憶していますが、背表紙にコード番号が貼られていそうなキッチリ整理は、ようやりません。いざという時に、見つかればよいです。

読んでいると、書きたくなってきます。徒然なるままに、ひぐらし、硯に向かいて…となると、帰ってこられないほど遠くに行ってしまいそうで、恐れおののきます(笑)。

読んで、書いて、しゃべってますと、ボケませんし老いません。

毎月二十冊くらいずつ増えていく書物を、心からいとおしく思っています。

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学園前教室・杉浦

2学期期末テストの振り返り。

みなさんこんにちわ。12月に入りめっきり寒くなり、日中の爽やかな日差しが何ともうれしい今日この頃ですね。

さて、期末試験はいかがでしたか?もちろんまだ終わってないよ、と言う方もいらっしゃるとは思いますが。冬休みを目前に控え、きょうは「振り返りのススメ」をしたいと思います。

2学期は1学期に比べ、基本的な内容から一気に応用、発展内容へと進んだのではないでしょうか?1学期はわかっていたのに、急に授業が早くなって知らない間に置いていかれちゃったって方も、たくさんいらっしゃるのでは。

テストの答案が帰ってきたら、くしゃくしゃ・クルクル・ポイっとしてしまわずに、次回のテストのためにもしっかり振り返りましょう。

えっ、どうしていいかわからないって?そんな時は石川数学塾大阪の経験豊富な各教室長に是非ご相談ください。

もうしばらくすると、冬期講習も始まりますので、あなたの弱点や今回のテストの課題など、親身になって相談にのってくれること、請け合いです。

では、ここで少しだけ振り返りのポイントをお伝えします。

まずは、返却された試験の中から、①自分の目標とした点数を上回ったものを良い方から、3教科ピックアップする(無ければ1教科でもよい)。②自分の目標とする点数を下回ったものを悪い方から、3教科ピックアップする。①と②に対して「意欲(取組姿勢)」「勉強した時間」「勉強した内容」について比べる。すると、不思議なことに良かった教科で共通点が。悪かった教科で共通点が見つかるものです。それがあなたの「強み」と「弱み」です。

さぁ良かった教科の強みの共通点を、悪かった教科に活かしてみましょう。次回劇的に点数が改善すること間違いなし!?ですよ。

では、冬期講習でお会いできる事を楽しみにしていますね。

上本町本部教室 中土井

冬期講習のご案内

川-冬講日記(6)

久しぶりに明日香村を歩いてきました。

飛鳥川をさかのぼり、女綱、栢森、「さらら」さんまで、てくてくと。

稲渕、男綱を少し登って、久しぶりに「飛び石」へ。水流渦巻くと、水没してしまう石橋です。

橋のほとりに、万葉歌碑があります。

明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも (巻十一 2701)     

飛び石をピョンピョン飛んで、向こう岸の想い人に会いに行く…恋の歌です。「会いたいな」と思っているだけですと、心理的な距離が、ほとんど無限大に大きいのでしょうが、飛び越えてしまえばほんの一瞬ですね。

『万葉集』はたいへん素直で、何かにつけてストレートで、わかりやすいです。

こんなふうに山の中では、飛鳥川が隔てるものといったら、せいぜい恋人との物理的な距離だけです。ほんの少しのディスタンスです。

川を下って嶋庄へ。蘇我馬子が「嶋大臣」となってから、天智・天武の離宮を経て、草壁皇子の居館まで。飛鳥川は祝戸で冬野川と合流して、約一世紀の長きにわたり、政治の季節を見続けました。

川を隔てた向こうには、橘寺、川原寺…。「彼岸」であります。

何事もなく茫洋と流れているだけの川に、あれこれ思いを致すのは、そこに群がってきた人々だからでしょうか。

川は悠久の時を見続けます。

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夢-冬講日記(5)

真夜中に見た夢は、さっさと忘れますが、明け方に見た夢は、けっこう覚えています。

最近よく見る夢です。

段築、葺石も鮮やかな、できたてホヤホヤの箸墓に、オウがたたずんでいます。オウは真紅のマントを羽織っています。

オウは前王・卑弥呼をたたえ、王位継承を宣言し、連合王国に栄えあれ!と叫びます。

人々は歓声をもって迎えます。

脇侍二人のオウが、交互に進みます。

向かって左のオウは、マントを直弧紋で染め上げ、特殊壺を掲げて進み出ます。

吉備を統めるオウであること、連合王国を支えることを、自ら人々に誓います。

人々はより多くの歓声に包まれます。

向かって右のオウは、マントを水銀朱に染め上げ、S字口縁壺を掲げて進み出ます。

尾張を統めるオウであること、吉備のオウと同じく連合王国を支えることを、自ら人々に誓います。

人々の拍手喝さいが鳴りやまない刹那、夢から覚めるのです。

おそらくは三世紀中ごろ、卑弥呼のあとを襲った「男弟」の即位式の模様なのでしょう。

卑弥呼は狗奴国と闘い戦死し、軍事的に勝利した狗奴国が、邪馬台国連合に参入した直後と思われます。

初期ヤマト王権の大王たちは、昼寝して見た夢に神の啓示をはかり取ったと言います。

小生が見る夢には、何かが隠されているのでしょうか。謎が深まります。

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雪-冬講日記(4)

北国は吹雪だったそうです。

奈良では雨でした。吹雪の「ふ」の字も、無かったですね。

雪といいますと、冬講期間中、何よりも第一に、雪は恐怖です。

大雪で交通機関が混乱、入試も混乱。…悪夢のシナリオです。入試にあらずとも、小生が出勤不能に。…悪夢パート2です。

夜半に雪の予報でしたら、雪が降り出す前に出勤してしまいます。出勤時間が午前3時なんて、なかなか素敵なことです(笑)。

入試の朝に大雪予報。…もはや神仏にすがるしかありません。ですから、前日の授業を早く切り上げて、「はい、今日の宿題は、これからすぐに試験場付近のネグラを探すこと。今晩、一泊しなさい。明日は大雪です。転がってでも、這ってでも、試験場にたどりつくのですよ。がんばりなさい!」と。

猛威でさえなければ、雪は憧憬です。古い記憶の片鱗です。

粉雪をかき分けて歩きたかったり、雪だるまとにらめっこしたかったり。なぜか雪には、ノスタルジーが似合います。

奈良に雪が降るときは、まず震え上がるほどに底冷えします。次にシンシンと、ひたすら静かに降り続きます。いつの間にか降りやみますと、なぜか奇妙に温かく感じます。雪で造ったカマクラも、中はとても暖かいですものね。

今年は降るのでしょか。降るのでしたら、どんなふうに降るのでしょうか。今から楽しみです。


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冬期講習開催日時について

奈良・高の原教室の飯尾です。

早々の冬期講習へのお申し込み、お問い合わせありがとうございます。
開催日時について、幾つかお知らせさせていただきます。
 
当教室の今回の講習は、休塾日の日曜日(12/25、1/8)、
年末年始(12/28、29、30、1/3)も特別に開講しております。

また、時間帯は、夜の部は通常授業に混ざって受けて頂く形になりますので、
比較的空いている、午前の部、午後の部の方を強くお勧めします。

空き状況、お問い合わせは当教室までどうぞ。

髭-冬講日記(3)

口髭を生やしております。鼻の下にモサモサさせております。

昔は熊髭でした。顔一面に生えておりました。

無精髭から始まったのです。意図的に生やしたのではありませんでした。気がついたらビッチリ生えていました。

ボリビアの山中でゲリラ活動するチェ・ゲバラみたいだ…と、悦に入っておりましたら、せいぜいカストロ(元キューバ国家評議会議長)程度と揶揄されました。トホホであります(笑)。

ちなみに、ゲバラはカストロの同志であり部下であったはずですが、「国境を超える革命」のゲバラはカッコイイけれど、何かと優柔不断なカストロはカッコ悪いと、皆一様に感じておりました。

そうこうしているうちに、ある日突然、学問の師匠からとどめを刺されました。ちょっと勉強をサボっておりましたら、「教育学徒が髭とは何事か!ええい、けがらわしい!剃ってこい!」と、なんと髭が叱られました(笑)。

そんなわけで髭面積が縮小され、熊→鼻の下となったわけです。

あいかわらず「わしってダンディ?」と誤解しておりましたところ、やれ「カイゼル」だの、「ヒトラー」だのと、散々に不評でした。ドイツ皇帝でも、第三帝国の独裁者でもないつもりでしたが、たしかに鏡を見てみますと、良くてチャップリンかな?…と。

しかしながら、ライターから引火して燃え細っていく以外、何の手入れもされなかった髭が(そもそも「引火」が「手入れ」かと(笑))、剃り揃えられるようになったのは大進歩でした。

こうして今に至っております。

髭にも歴史がございます。ささやかな歴史ではありますが…。

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猫-冬講日記(2)

「よう!元気かい?」

いつもどおり呼びかけますが、いつも通りにらみ返してきます。あいかわらず愛想がありません(笑)。

「今日も畑番かいな。誰か荒しに来るのかい?」

あんたにゃあ、関係ないだろにゃあ…と、つれない表情です。

「Hey!、ペルシャ!いつもにまして、毛並みが良いじゃん!」

なんだかペルシャ猫みたいな「ペルシャ嬢」、少しうれしそうです。

「Oh!、タイガー!そんなに怖い顔するなよ!」

シマシマ模様で尻尾が長い「タイガーくん」、今日も道路のド真ん中に座って、近づいてくる小生を威嚇しています。

何とも人なつっこい猫たちでして、小生が無視して通り過ぎようとしますと、尻尾を立ててすり寄ってくるのです。

出勤が午後イチで良い日、朝から那羅山の奥地を歩いています。なじみの猫が、どんどん増えていきます。

初見では、なんとなくぎこちなかった猫と小生も、毎朝語りかけているうちに、いつのまにかうちとけていきます。

猫の世界も人の世界も、変わらない日常が、そこにはあるのでしょう。

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