返-春講日記(4)

さて昨日、大原の藤原夫人を茶化した天武天皇、藤原夫人に反撃されてしまいます。万葉集の巻二・一〇四番です。

わが丘の おかみに言ひて 落(ふ)らしめし 雪のくだけし 其処に散りけむ

あなたが誇らしげにおっしゃっている雪ですけどね、私がこちらの丘の神に言って降らせたのでございますよ。あなたのいらっしゃる浄御原宮には、その雪の砕けた残骸が降り積もったのでございましょうよ。オホホホホホホォ~!…と、おおよそこんな意味です。

はい、少しばかり意訳に過ぎましょうか。それでも、こんなに面白い訳を思いついてしまいますと、なんとも我慢しきれずに、ついつい虎視眈々と、発表の機会を待ってしまう小生でした。

それはさておき、この掛け合い漫才のような相聞歌、何とも素朴で、ユーモラスだと思われませんか。壬申の乱を勝ち抜いた覇王・天武が、まるで形なしです。

微笑ましくも人間らしい、ご先祖のありようを、昭和天皇も愛されたといいます。小生も大原の里に、この万葉歌碑を眺めるにつけ、やはりほくそ笑んでしまいます。

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