「春雨じゃ!ぬれて参ろう!」、しとしと雨が似合う季節です。
移動性高気圧が、大陸からとんできます。高気圧のあとには、低気圧と前線が控えています。
大崩れするわけではないですが、いかほどか規則的に降る弱い雨は、こんなメカニズムに因るわけです。
ぬばたまの 黒髪山の 山菅(やますげ)に 小雨降りしき しくしく思ほゆ
万葉集巻十一・二四五六より。柿本人麻呂作でありましょう。黒髪山の山菅にふり続ける雨のように、あなたのことを想い続けておりますよ…と、恋の歌であります。
山菅の花から察するに、季節は初夏、もしかするとジメジメした梅雨の時期かと思われます。残念ながら、春雨の季節ではないでしょう。
しかしながら、思い続ける気持ちを例えるに、春夏の違いは、たいしたものでもありますまい。
大仏鉄道の黒髪山トンネルが消え、やすらぎの道が貫通し、黒髪山は何処と知れず。
そんな現状も相まって、余計に切なくなる雨であります。