時計の針を逆回りさせることができたら…と、思うことがあります。
老人が尚古趣味に浸ると、どうにもジメジメしていけません。
「ああしたら良かった、こうしたら良かった」と、宿命を呪うことに没入してしまいます。
しかしながら、第二第三の道行きなるものが、仮にあったとしても、晩年にその道行を悔やまない保証もありません。
むしろ、「文句言い」は何度でも、ウジウジ言っていそうな気がします。
さて、そんな老境とは対照的に、スパッと唐竹割り…な野郎もいます。ロシア赤軍を組織し、ヴェイ・レーニンと共にロシア革命を成し遂げた、レオン・トロツキーであります。
「私は、自分の意識的生涯の43年間というもの革命家でありつづけたし、そのうちの42年間はマルクス主義の旗のもとで闘った。たとえはじめからやり直すことになったとしても、もちろん、私はあれこれの過ちを避けるように努めるだろうが、私の生涯の全般的な方向性は変わらないだろう。私は、プロレタリア革命家、マルクス主義者、弁証法論的唯物論者、したがってまた非和解的な無神論者として死ぬだろう。人類の共産主義的未来に対する私の信念は現在、青年のころに劣らず熱烈であり、その時よりも強固でさえある。」(『遺書』西島栄訳)
トロツキーは、亡命先で政敵・スターリンの刺客に襲撃され、瀕死の重傷を負い、それが原因になって死亡します。
上記『遺書』は、その人生を予見するかの如くに書かれたものです。
さりながら、トロツキー、全く曇りがないですね。こんなふうに割り切れたら、人はきっと幸せなのかもしれません。