「アヤカシ」に出逢ってしまうことがあります。
那羅山を北へ北へとウォーキング、国道24号、JR関西本線、平城山大通りが交差するあたり、高架下を超えて佐紀丘陵に登ります。
ヒシャゲ古墳(磐之媛陵)を左手に、ちょっとした小道を山奥へ、釣り人たちが憩う小さな池のほとりに出ます。
ある朝、少し変わったいでたちの釣り人に出会いました。
大きなドテラのようなものを着込んだ後姿、ムーミン谷のスナフキンかと錯覚するほど大きなつば帽子、何に腰かけているのだろうと思ったら、大きくて、たわわで、真っ白な尻尾でした。
ここまでおよそ12000歩くらい歩き通していますから、少々息が上がっていまして、どうやらまともな判断能力を失いかけていたようです。
「釣れてるのかな?釣り糸も尻尾も、ピ~ンと張って、元気そうだし釣れてんのやろ。」
「何は無くとも、元気が一番!尻尾の張りが、元気な証拠!」
「ん?なんか変やな…。尻尾…、なんでやねん?」
ようやく気づいて振り返りましたら、尻尾の釣り人はドロロンパ。
代りに大きなキツネが、小生の頭上を跳ね超えて、佐紀の田畑に踊っておりました。
しまった!だまされた!と悔やみましたが、やられてみてなんだか爽快でしたから、これまた不思議なものです。
キツネが一瞬立ちどまり、小生にニコッと笑いかけました。
小生は苦笑いを返すのが、精一杯でありました。