怪-冬講日記(9)

「アヤカシ」に出逢ってしまうことがあります。

那羅山を北へ北へとウォーキング、国道24号、JR関西本線、平城山大通りが交差するあたり、高架下を超えて佐紀丘陵に登ります。

ヒシャゲ古墳(磐之媛陵)を左手に、ちょっとした小道を山奥へ、釣り人たちが憩う小さな池のほとりに出ます。

ある朝、少し変わったいでたちの釣り人に出会いました。

大きなドテラのようなものを着込んだ後姿、ムーミン谷のスナフキンかと錯覚するほど大きなつば帽子、何に腰かけているのだろうと思ったら、大きくて、たわわで、真っ白な尻尾でした。

ここまでおよそ12000歩くらい歩き通していますから、少々息が上がっていまして、どうやらまともな判断能力を失いかけていたようです。

「釣れてるのかな?釣り糸も尻尾も、ピ~ンと張って、元気そうだし釣れてんのやろ。」

「何は無くとも、元気が一番!尻尾の張りが、元気な証拠!」

「ん?なんか変やな…。尻尾…、なんでやねん?」

ようやく気づいて振り返りましたら、尻尾の釣り人はドロロンパ。

代りに大きなキツネが、小生の頭上を跳ね超えて、佐紀の田畑に踊っておりました。

しまった!だまされた!と悔やみましたが、やられてみてなんだか爽快でしたから、これまた不思議なものです。

キツネが一瞬立ちどまり、小生にニコッと笑いかけました。

小生は苦笑いを返すのが、精一杯でありました。

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学園前教室・杉浦