しばしば「巻きもの」について語った男でした。宮澤賢治の「雨ニモマケズ」、薄汚れた茶色い紙に、書き殴ったような鉛筆跡です。
男は「真筆だ!」と言います。箱書きが証拠になるようでもありませんし、今一つ根拠薄弱なのですが。
男の義理のおじいさんの遺品だったそうです。義理のおじいさんは、満鉄の社員だった、すなわち大日本帝国のスパイだったと。
関東軍の参謀であった石原莞爾が、賢治と法華経のつながりで、借金王であった賢治が無心の質に差し出したと。
石原は満州事変を起こしたのち、巻きものを満鉄に預けて帰国したと。
なんともかんとも、よどみない説明過ぎて、なんとも眉唾な話であります。
「ロマンも込みで、骨董だ!」と。
男の口先には、何か憎めないモノを感じてしまいます。
なお、巻きものは学園前教室に飾られております(^_^)。