怪電話(転)-冬講日記(36)

何度かヘッドハンターとやり取りするうちに、彼は違和感の原因に思い当たりました。

ハンター氏の背後を飛び交うオフィス会話に疑念が生じました。

録音して何度か聞いているうちに、背景音が全く同じ会話という瞬間を捕えたのです。

たとえば、こんな具合です。

低い男の声「またとない条件ですよ。今決めちゃいましょうよ」

やや高い男の声「お世話になっております。××転職サービスです。今よろしいですか」

女の声「19時20分に、アポイントをお取りしました」

別の女の声「夕方までにFAXいただけますか。お待ちしております」

これらがタイミング良く、寸分違わずに、何度も輻輳するなどという偶然が、はたしてあるものなのでしょうか。

ハンター氏の背後に、あわただしいオフィスと思わせる何らかの仕組み、たとえば録音テープが流されているとしたら…?

彼はこれ以上深入りするのを避けようと決心しました。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦