彼のもとに、その電話がかかってきてから、かれこれ2年以上になるでしょうか。彼は塾屋の同業ですが、敢えて名を秘します。
「××(彼の本名です)さんですか?、あなたをヘッドハンティングしたいのですが…」。
彼は一瞬、わが耳を疑ったそうです。とりあえず、何のことですか?と、聞きなおしてみました。
「某塾があなたをご指名です。できるだけ早く、条件面を詰めたいのです」。
ちょっと待ってください。某塾って、どこですか?…彼はキツネにつままれたような感覚だったそうです。
「某塾との契約上、申せませんが、×××が×××ってスローガンを掲げている塾です」。
長い業界人生を、彼は生きてきましたから、もちろん知っていました。小生も知っています。
「人材開発は新規開校のためです。某塾は個別事業部のトップを探しています」。
「労働時間を現状の7割に、給与を現状の18割に、このベースから相談させてください」。
「お察しの通り、某塾には巨大な看板があります。万が一この交渉経過が外部に漏れますと、××さんにも某塾にも不利益でしょう。極秘に願います」。
聞いてもいないのに、彼は矢継ぎ早の「説明」を受けることになりました。
みなさん、彼はいったいどうしたと思われますか?