自慢するわけではありませんが、いざ「勉強しよう」と決心した私は、たしか初回のゼミで配布された「参考文献」(「必読文献」だったかもしれません)のリストを発掘し、猛然と読み始めました。
読み始めてみて、おそらく初めてわかったことがたくさんありました。
知らなかったことがたくさんありました。高校の日本史の教科書から「教育史」を拾い集めて、せいぜい二十ページ。なんてこたぁ、あれへんわい…と考えていた私が浅はかでした。
知らないことを知っていくと、どんどん面白くなっていくのです。論文を一本読むごとに参照論文を三本読みたくなりました。単行本を一冊読むたびに、参考文献を五冊読みたくなりました。
知れば知るほど、生意気にも書いてみたくなりました。書いては消し、消しては書き、そうこういている間に、先輩研究者とも仲良くなり、先達諸賢の明晰なる頭脳に驚き、多様な興味関心に大いに影響されました。
いつしか京都大学本部構内附属図書館の地下最奥に、文献を渉猟する日々が始まったのです。
(続く…)